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漢方耳より講座 第9回 バリア機能「気」


 報道されているように、全国的に今年の夏は涼しく、東京ですら8月下旬になるともう夜は肌寒いくらいに感じられるようになりました。
これを天候不順と呼ぶかどうかはわかりませんが、いずれにせよ、体調の管理には十分気をつけたいものです。

これから寒くなるにつれ、気になるのは「かぜ」。
今年は新型インフルエンザの流行もあり、手洗いやうがいを徹底されていることとは思いますが、もうひとつ気をつけたいのが「気」の状態です。
   先月「気」について書きましたが、夏バテや熱中症だけでなく、かぜ予防にも「気」は大事な働きをします。
「気」は全身をバリアのようにかけめぐり、体を温めながら外敵の侵入を防ぐ働きがあります。けがややけどなどの傷口(皮膚のバリアが完全な状態でないとき)から菌が侵入しやすくなるのと同じで、「気」が不足している・完全でない状態のときは、外敵が体内に侵入しやすくなるとされています。
  
  特に夏は気を消耗しやすい時期ですので、夏バテで体調が完全でない方、疲れが溜まっている方などは、「気」をこれ以上失わないように気をつけたいものです。
  しっかりと睡眠をとる、バランスのいい食生活などで十分に気は回復します。
  逆に、疲労や偏った食生活、また先月号でも書きましたが、辛い料理の食べすぎも気を消耗します。
  どうしても疲れが取れない、だるいなどの症状がある場合は、気を補う漢方薬などもありますので、専門家にご相談下さい。

 
担当:川村

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