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漢方耳寄り講座 第12回 葛根湯と汗の関係


  漢方薬の効能効果を見ていると、症状や病名、使う方の体力のほかに、汗にまつわるものの記述をよく見かけます。
たとえば、これからの季節活躍する葛根湯にも、よく見ると「汗」という記述があります。

【当社葛根湯エキス顆粒「創至聖」の効能】
体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

一見かぜの症状とは無関係に見える「汗」について、わざわざ記載してあるのはなぜなのでしょうか?
これは、葛根湯の発汗力と、気の状態に関係があります。

全身をめぐっている気は外敵から身を守るだけでなく、体内の水分を閉じ込めておく働きもあります。暑いときや運動をした後などに汗をかくことは正常なことですが、普段から暑くもないのに汗をかきやすい人は、気が本来持っている「水分を閉じ込めておく働き」が落ちているといえます。漢方でいう「気虚=体力のない方、抵抗力の落ちている方」の状態の人です。

葛根湯は発汗作用を持ったかぜ薬です。肌にとどまった邪気を発汗作用で追い出す働きがあり、すでに発汗している方(=体力がない方)が使うと、余計体力を消耗してしまう恐れがあります。
そのために、あくまでもまだ発汗していない方(=発熱してなく、体力も衰えていない)向けの漢方薬といえます。

自分にぴったりのかぜ薬をみつけて健康にこの冬も乗り切ってください。

 
担当:川村

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